宮本永子『わたしの秀歌散策』(柊書房)より

宮本永子氏が「朔日」(2004年3月号~2017年3月号)までに連載した短歌の鑑賞をまとめた一冊。「惹かれた歌を気儘に鑑賞することにつとめました。」(あとがき)という著者の言葉からもわかるように『万葉集』から近現代短歌まで幅広い作品が収められています。

・この寺を出ようとおもふ 黄昏の京を訪へば彌勒ささやく  栗木京子(『夏のうしろ』より)

・あさなさな鏡をのぞきをみな子は鏡のなかの子といれかはる  松尾祥子(『茜のランプ』より)

・千年も動かずにゐし石の裏耳を当つれば水の音する       時田則雄(『ポロシリ』より)

・ゆうぐれはとても大きな馬なのでかちりかちりと石踏みてゆく  吉川宏志(『西行の肺』より)

・もう父はひかりを食べてゐるのだらう仰向けるまま口を動かし  久我田鶴子(『雨を見上げる』)

ここでは触れていませんが、一首一首の作品の鑑賞が丁寧になされており、読み物としても興味深い一冊です。


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